第12章 失敗を恐れてチャレンジできない君へ

12 失敗を恐れてチャレンジできない君へ

誰でも失敗はしたくないです。
もし、チャレンジして失敗したら、「みんなに笑われるかも知れない」、「馬鹿にされるかも知れない」などと思ってしまい、心がすくんで最初の一歩が踏み出せなくなってしまいます。

しかし、本当に失敗をそんなに恐れる必要があるのでしょうか?  失敗はそんなに悪いことなのでしょうか?

成功するためには、失敗はとても重要なことであることを伝えます。

まず、科学の世界のお話です。白熱電球を開発したエジソンは、6000種類以上の物質を電球のフィラメントとして実験し、竹が材料に適していると分かると、世界中の竹を取り寄せて実験を重ね、最後は日本の京都にある竹をフィラメントに採用し商品化に成功します。つまり日本の京都の竹にたどり着くまでに、すごく多くの失敗を重ねて成功にたどり着いているのです。

科学や薬学の世界では、とにかく実験を重ねてデータを取ります。それは失敗の連続です。
しかし、その失敗はデータとして蓄積され、こっちはダメだよということで、成功にたどり着くルートを絞り込む作業に使われます。
失敗のデータこそが最重要な大切な情報なのです。

大学時代に友人が、シルクスクリーン版画のワークショップを開いてくれました。
私はインクの伸ばし方に失敗して下半分がかすれてしまい、その失敗作をゴミ箱に捨てようとしたときです。
彼が私に、「失敗作も作品だから捨てないで欲しい」と言ったのです。
私はその言葉に驚きました。
そうです失敗作も立派な作品なのです。
美術の世界では、わざとゆがませて描いてみたり、わざとかすれるように塗り重ねてみたりなどして、偶然の効果も利用して作品を創作します。
多くの失敗作から新しいアイデアが生まれます。
それなのに、失敗作を捨てようとした自分がすごく恥ずかしかったです。
私は素直に彼の言葉に従い、彼の芸術家としての意識の高さに感心しました。
後に、彼は世界的有名な写真家として活躍することとなります。
失敗作を大切にする彼だからこそ成功できたのだと思います。

さて、今は失敗を恐れてチャレンジできない君が、実は過去には、すごいチャレンジャーだったことを伝えます。
もちろん君だけではなく、すべての人がそうだったという話です。
誰もが赤ちゃんの時には、ものすごいチャレンジャーだったのです。
赤ちゃんは目にした物すべてに手を伸ばし、口に入れて確認します。
そして体を動かし、とにかくいろいろやってみて、どんどんできることを増やしていきます。
赤ちゃんがすごいスピードで多くのことができるようになっていくのは、赤ちゃんには失敗することを怖いと思う気持ちがまだ無いからです。転んだり、頭をぶつけたりする痛い体験も、身を守る方法を知るための大切な失敗なのです。
赤ちゃんにもどることはできませんが、チャレンジャーになれる力は君も秘めていると思いますよ。

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